【社内勉強会】EC2のConvertible RIについて
2017年11月のConvertible RIの機能追加によってこのエントリーの内容は古くなっています。最新の比較はEC2のStandard RIとConvertible RI比較【2017年12月版】 | Developers.IOを参照してください。
今回のエントリーはEC2のConvertible RIについて社内勉強会を行った際の資料を公開したものです。参加者はStandard RIは理解していて、Convertible RIについての理解を深めることを目的として実施しました。
なお、RIについては公式ドキュメントに詳細が記述されており、今回の内容もその要点を抜粋したものです。 そのため、詳細について確認する際は以下の公式ドキュメントとFAQをご参照下さい。
Standard RIとConvertible RIの違い
一番の違いは購入後にStandard RIは変更操作が出来ることに対して、Convertible RIは交換操作が出来る点です。
Standard RIの変更
変更操作は以下について変更可能です。また、変更する際にインスタンス数を指定できるので、1つのRIを複数のRIに分割できます。
- アベイラビリティーゾーン
- スコープ(Region と Availability Zone)
- ネットワークプラットフォーム(EC2-VPC と EC2-Classic)
- 同じインスタンスタイプ内でインスタンスサイズ
Convertible RIの交換
交換操作はその名前の通り既存のConvertible RIを別のConvertible RIと交換することを意味します。そのため、新規購入時と同じようにインスタンスタイプやプラットフォームだけでなく支払い方法についても指定可能です。ただし、Standard RIのようにRIを分割することは出来ません。また、交換する際は既存のRIの金額以上となるRIに交換する必要があります。詳細は以下のエントリーを参照して下さい。
機能比較表
よく質問されそうな機能についての比較表です。
機能 | Standard RI | Convertible RI | 備考 |
---|---|---|---|
契約期間 | 1 年または 3 年 | 3 年のみ | |
お支払い方法 | All Upfront / Partial Upfront / No Upfront | All Upfront / Partial Upfront / No Upfront | インスタンスタイプによって異なる |
キャパシティ予約 | 可能 | 可能 | スコープをAvailability Zoneにする必要がある |
インスタンスサイズの柔軟性 | 可能 | 可能 | 後述の要件を満たす必要がある |
RIの分割 | 可能 | 不可能 | |
マーケットプレイスでの販売 | 可能 | 不可能 | 販売者登録が必要 |
従量制割引 | 対象 | 対象外 | 「Windows および SQL Server」とマーケットプレイス購入分はStandard RIでも対象外 |
インスタンスサイズの柔軟性の要件
以下の要件を満たす必要があります。
- プラットフォーム : Linux/UNIX
- スコープ : Region
- テナンシー : default
社内勉強会でのQA
Q. Convertible RIを交換する際の前払い金はどうなるのか?
前払金の差額を支払うことになります。以下が公式ドキュメントに記載されている計算式です。
$600 prorated upfront cost of new reservations - $500 remaining upfront cost of original reservations = $100 difference
前述は既存のRIの残り期間の前払金残額が $500 で、交換先のRIの残り期間の前払金が $600 となる場合は差額として $100 を支払うという式です。FAQにも同様の回答があります。
Q: 全前払いの Convertible リザーブドインスタンスを変換する場合は、どのように調整コストを計算しますか?
1000 USD を前払いして全前払いの Convertible リザーブドインスタンスを購入した後、期間が半分経過した時点でリザーブドインスタンスの属性を変更するとします。リザーブドインスタンスの期間が半分経過しているため、リザーブドインスタンスの案分計算された金額の残りは 500 USD です。変換先となる全前払いの Convertible リザーブドインスタンスに対する本日の前払いコストは 1,200 USD です。現在の Convertible リザーブドインスタンスの期間は半分しか残っていないため、新しい Convertible リザーブドインスタンスの残額は 600 USD です。お支払いいただく調整料金は、元の Convertible リザーブドインスタンスと新しい Convertible リザーブドインスタンスの前払い金額の差額、つまり 100 USD (600 USD – 500 USD) となります。
Q. Convertible RIを交換する際の差額の確認方法は?
既存のRIの残り期間によって金額が異なるため、正確な値を調べるにはマネジメントコンソールでRIの交換操作を実施し、交換先のRIを選択することで確認できます。
AWS マネジメントコンソール を使用してコンバーティブルリザーブドインスタンスを交換するには
またAWS CLIやAmazon EC2 APIを利用して確認することも可能です。
Q. Convertible RIで既存より安いインスタンスタイプに交換する場合はインスタンス数を増やせばいい?
はい。インスタンス数を増やすことで交換できます。なお交換時のインスタンス数は自動的に決定され指定できません。
Q: Convertible リザーブドインスタンスを交換した結果として受け取るインスタンス数はカスタマイズできますか?
いいえ。EC2 では、交換元の Convertible リザーブドインスタンスの金額に基づいて、交換後の金額が同額以上になるよう、お客様が受け取る Convertible リザーブドインスタンスの最少数が自動的に計算されます。
Q. EC2の利用費が値下げされた場合はどうなる?
Convertible RIの交換操作をする際は値下げ後の価格で交換できます。そのため、同一のインスタンスタイプに交換したとしても差額分はRIが適用されるインスタンス数を増やすことが出来ます。
Q: Convertible リザーブドインスタンスの価格が低下した場合、その低い金額でリザーブドインスタンスを利用できますか?
はい。リザーブドインスタンスを交換すれば、その低い金額でリザーブドインスタンスを利用できます。例えば、新しい Convertible リザーブドインスタンスの価格が 10% 引き下げられた場合、Convertible リザーブドインスタンスを交換すれば、10% 低い金額で利用できます。
Q. Convertible RIは分割できないならインスタンス数1ずつに分割して購入すると良いのか?
ケースバイケースです。RIに対応するEC2インスタンスのインスタンスタイプの変更を1台ずつ実施するなら概ね問題ないでしょうが、以下のような懸念点があります。
- 変更先のEC2インスタンスのRIの値段が安くなる場合はインスタンス数が2に増えるのでRIが余る可能性がある。
- 複数のEC2インスタンスを1つのEC2インスタンスに集約するような際にRIが余る可能性がある。
また、管理するRIの個数自体が増えるため管理コストが増えます。そのため、1つの指針としては開発・本番のような環境単位やサブシステムのような構成変更のタイミングが同じになる単位で購入するのが良いのではないかと考えます。
最後に
Convertible RIの登場によってStandard RIでは対応できない構成変更や新インスタンスファミリーへの乗り換えにも対応できるようになったのは嬉しい反面、実際に購入する際はどのような買い方にすればよいのかなかなか難しいと思いました。参考になれば幸いです。